私たちは日々の生活の中で、非常に多くのモノと関わって生きています。人間らしく生きるためには、道具をただ道具として使うのではなく、美意識や感謝を持って扱うことで私たちの生活は豊かになります。手帳が私たちの人生を豊にする理由の一つです。
1日1回は手帳を手に取るのではないかと思います。毎日使うモノ、大げさかもしれませんが自分の理想の未来を考えて記録するモノ、そういうモノは少しでも良質なモノ、自分が納得したモノ、自分に合ったモノを選び、そして、使いたいと思うのではないでしょうか。だから、なかなか自分に合った手帳がなかなか見つからない手帳難民になっている人も多いと思います。
毎日使うモノとの信頼関係も重要だと思います。私たちは全員、人生を豊に生きる職人ではないでしょうか。職人さんやプロと呼ばれる人たちは、仕事で使う道具を大切にします。道具を使い終わったら、道具に感謝して、道具に話しかけるように磨いたり、手入をして装具を綺麗に保ちます。もし壊れたら修理します。お料理屋の板前さんが包丁を研ぐ姿だったり、プロ野球選手がグローブやスパイクをみがいたり、バットをケースに入れて丁寧にしまったりする姿を見たことがあります。その姿は道具にも敬意を表する凛とした美しいオーラを感じます。そして、道具に愛着が生まれ、道具を大切に長く使います。モノにも命があることを教えてくれます。
日本の製品は今も世界中からリスペクトされています。高い「技術」が使われているだけでなく、作る人が自分の仕事に誇りを持ち、そのプライドをかけて特別な注意を払って作っているからです。特別な注意を払って作られたモノにはそれだけの価値があるし、人々はそうして作られたモノから喜びや満足感を得ると思います。手で触っているだけで、身につけているだけで、カバンの中に入っているだけで、心が落ち着くあなただけの道具があります。
中島正雄