手帳『M365』は正方形にこだわっています。
どうして”正方形”なのか。それは仏教の”マンダラ”がルーツです。マンダラは、今から1200年前、遣唐使だった空海さんが、今の中国から日本に持ち帰った二つのマンダラが対になっている”両部マンダラ”の、向かって左にある、正方形9マスにデザインに「金剛界マンダラ」のことです。
わたしの解釈で、仏教は、2400年前、インドで、お釈迦さまが「生きることは苦しいことだ」ということを発見してはじまりました。お釈迦さまは、その苦しみから解放される方法を見つけました。お釈迦さまの教えは、初めは言葉で伝えられましたが、それが中国に広まると、文字になりました。お経です。仏教の深い教えを文字で伝えるのは難しいと考え、図解で解りやすく作られたのがマンダラです。
わたしは、正方形という図形に秘密、意味があるのではないかと思いました。正方形は、上下左右どこから見ても対称の美しい図形です。正方形は非常に安定した図形です。だから余計なことを考えずに、無心に図形を見ることができます。きちんと整った綺麗なマスが目の前にあるので、自分の頭の中を整理しやすくします。今を生きるわたしたちも、このマンダラのデザインを応用すれば、自分のいい未来を考えることができるではないかと思いました。
手帳自体の形が正方形の手帳もありますが、形自体を正方形にしようとは考えませんでした。重要なのはマンダラのように正方形のマトリックスです。既成の長方形の用紙に正方形のデザインを配置すると、どうしても天地の余白は詰まり、左右の余白が大きく空いてしまいます。用紙の縦横を入れ替えると逆です。手帳は、毎日見る道具です。しかも、手帳を見て、これから訪れる自分の未来を考えます。そのデザインは、”美しく”ありたい。デザインでわくわくして見たくなる、デザインで手帳を使うのが楽しくしたい、と試行錯誤しました。
1週間は7日で、1ヶ月はだいたい5週間、多くても6週間です。これは変えられません。月間ブロックカレンダーをデザインするとき、縦は7列、横は6行のマトリックスでは正方形にはなりません。縦7列は、どうしても変えることはできませんので、正方形のマトリックスを作るには、縦7列×横7行。この7×7のマトリックを長方形の紙の上にどう美しくデザインするのか、新しい試行錯誤がはじまりました。
(正方形へのこだわりは明日につづく……)
中島正雄