「⚪︎⚪︎をやろう」とか「〇〇を考えよう」とは特に思わず、ただその場所に行くだけで何かをキャッチできるかもしれない、いや、できないかもしれない。そんなワクワクする期待を抱かせる場所が、あなたにも一つか二つはあるかもしれません。そんな場所は、間違いなく、気の良い場所です。
わたしは、身体の不調があるわけではないのに毎月行く病院があります。この病院での診察は、たまに行う血液検査と医師との会話が主です。病院へは会社から地下鉄で3駅移動し、昭和の雰囲気を色濃く残す短い商店街を抜けて行きます。わたしは、この病院の帰り道、商店街のほぼ中央にある昭和を感じさせる寿司屋に立ち寄るのが、月に一度のルーチンになってしまいました。
店の入口は目立たない紺色の暖簾だけ。初めて訪れる際には少し勇気が要りました。店内に入るとL字型のカウンターがあり、丁寧に仕込まれた寿司ネタが美しく並び、清潔で静かな雰囲気が漂います。わたしはいつも板前さんの真正面を避けて、カウンターの奥から二番目の席に座ります。
『スウェーデン式アイデア・ブック』には、「創造性を引き出すためのアイデア」が30項目にまとめられており、その22番目には「創造性の4B(頭が冴える場所)」があります。これにはBars(バー)、Bathrooms(バスルーム)、Buses(バス)、Beds(ベッド)が含まれています。バーは一人でお酒を楽しむ場所。これを日本語に置き換えれば、「寿司屋のカウンター」とも言えるでしょう。
わたしはカウンターに座ると、ポケットからM9notesを取り出し、カウンターの上に置いて、静かにアイデアが湧いてくるのを待ちます。(^^)