返信ハガキ「囲碁六段へ」

 郵便局の人が来て、お金と交換で返信ハガキが帰ってきます。超アナログだけれど、もしかすると最先端で、スマホ化で忘れてしまった何かに気づく機会ではなかと考えます。返信ハガキは、えてしてメールやSNSなどでやりとりのない思わぬ人から来ます。75歳・男性からです。わたしの想像の範囲ですが、現役時代だったらとてもお近づき出来なかった方のような気がします。

 9マスのまん中は「囲碁六段へ(現在五段格)」。まん中のマスから「の」の字を書くようにまわりのマスには、「体調管理」脳の働きが体調に左右される。「大会参加」区目大会、他年3回。「指導碁を受ける」年3回。「ネット対局」朝・夜各2局。「精神統一と集中」。「戦い方の勉強」本。「手筋の勉強」本。「ハサミ方の勉強」本。というあり、とても具体的で素晴らしいです。真剣に昇格を考えているということがうかがえます。ハガキサイズの9マスをジーッと見ながら、頭の中にあった策を、目に見える明確な策に変えたことで、実現できる可能性が格段に上がったのではないでしょうか。素晴らしい。

 9マスの下にあるコメント蘭も素晴らしいので引用します。

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囲碁の世界ではAIは神様になりました。
5〜6年前に世界一の棋士(韓国)に勝ち(圧勝)、プロ世界一は悲観して引退しました。
AIは人間の碁を「ユートピア」にするか、「デストピア」にするか。

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 今回の新聞『やさしくデジタル』に「AIをはじめました」の記事がありました。返信ハガキは、そのアラートを促してもくれているようにも思いました。わたしは、帰ってきた返信ハガキに、これから人間が豊かに生きる智恵があるような気がして、カバンに入れて何回も読み返しています。

 わたしは9マスノートでわたしたちが忘れた何かを取り戻せるのではないかと思っています。郵便局の人が訪ねてくるのが楽しみの一つになっています。

(中島正雄)